前回の続きです。
秋葉社長は創業して30年以上も
圧倒的な努力によってアキダイを引っ張ってきました。
創業時はお客さんが少なく本当に苦労されたそうです。
私の小売り業をやっていたので分かるのですが、
お客さんがこないお店の経営者ほどつらいことはありません。
事業承継としては娘さんはいらっしゃいますが、
自分の代わりはできないと考え、
次に従業員が引き継ぐ場合でも、
自分を比較され続けることで
このアキダイを同じように続けることが難しいと考えました。
そこで、約10年前から漠然とM&Aによる事業承継を意識します。
実際、多くの企業やM&A仲介会社から打診があったそうです。
それを何社も話を聞くうちに、
自分はお客様に従業員に感謝して経営してきた。
アキダイはずっとこれを守り続けたい。
M&Aであれ、後継者に譲るにして、
何を大切にして欲しいのかが明確になりました。
秋葉社長は「従業員がアキダイの従業員として働けること」を
実現できる企業をM&Aの条件としました
そこで、たまたま信頼できる経営者に直接売却し、
自らは社長を続けながら事業承継のリスクを回避したのです。
今ではあちらこちらで講演もされており、
同世代の経営者に「50歳をこえたら、将来を考えるよう」と
伝えています。
事業承継にとって、
何が一番大切に守りたいのか、
何を一番繋げていって欲しいのか。
これらを明確にすることこそ重要です。
また、事業承継はじっくり考え、
様々な専門家の意見を聞きながら、
進めることも重要性も秋葉社長の例から分かります。
秋葉社長の
「高齢になって追い詰められてM&Aは嫌だった。
元気なうちに有利な状況で事業承継したかった」
といわれており、まさに事業承継の真髄です。
時間に余裕があるうちに準備をする。
事業承継の根本はこれに限ります。